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2025年07月03日 [作業療法士K]

”作業療法士K”のガチで解説シリーズ @ひざ痛原因編

初めまして。
うきよ訪問看護ステーションで作業療法士をしております、”作業療法士K”と申します。
作業療法士の視点から皆様にお役立ち情報を発信できればと思っております。
リハ職・医療職ではない方でも分かりやすい
しかし内容は”ガチ”の解説がコンセプトです。
患者様、ご利用者様がお持ちの疾患への理解が深まることで、
あなたの業務や支援の質が上がること請け合いです!
どうぞよろしくお願いします。

まずは、簡単に自己紹介をさせてください。

氏名:作業療法士K
年齢:40代
職歴:急性期の総合病院勤務8年
   回復期リハビリテーション病院勤務8年
   デイサービス勤務6か月
   デイケア、訪問リハビリテーションの新規立ち上げ1年
   得意な分野:脳血管疾患、整形外科疾患


前置きはこのくらいにしまして、本日は日常よくある悩みとして挙がるであろう
「ひざの痛み」についてお話していこうと思います。
ウキウキ♪リハビリテーション!

ひざの痛みは加齢が原因なのか?

「最近、ひざが痛くてしゃがめない」
「ひざが痛くて階段の昇り降りが辛い」
こうしたひざの痛みには解剖学的・運動学的なはっきりした原因があります。
もちろん、その根本に加齢変性があることも多くあります。
作業療法士Kがひざ痛の本当の原因をどこよりも分かりやすく解説します。

ひざ関節の構造
ひざ関節を構成している骨は3つあります。
❶大腿骨(太ももの大きい骨)
❷脛骨(すねの骨)
❸膝蓋骨(ひざのお皿の骨)

また、多くの靭帯や内外の半月板が存在します。


ひざ関節の動き

曲げ伸ばしが主な動きとなる。
専門的に言うと”蝶番関節に分類される。(いわゆる”ちょうつがいの”動き)


ひざ関節の役割

❶体重の支持
立っているときや歩くときに体重を支える土台になります。

❷動作の補助
歩くのはもちろんのこと、段差の昇降やジャンプといった動作は
ひざ関節の曲げ伸ばしによって可能になる動作です。
ひざを曲げずに階段を降りたり、ジャンプすることは難しいはずです。

❸衝撃の吸収
ひざ関節が曲がることに加えて、軟骨や半月板があることで着地時の衝撃を
吸収してくれます。それによって、骨の損傷を防いでくれているのです。
高いところから飛び降りると、着地の瞬間にはひざを自然に曲げていると思います。


ひざ関節の構造と役割 まとめ
ここまでがひざ関節の解剖学的・運動学的な解説となります。
ざっくりまとめると、ひざ関節は
体重を支え、衝撃を吸収する必要があるため、安定性と可動性という相反する機能を求められる関節である。
それを可能にするために、多くの靭帯や半月板にて安定性を得ている。

と言えます。

ひざの痛みの原因

姿勢(アライメント)の崩れ
ひざ痛の原因の多くはアライメントの崩れに起因します。
ひざだけではなく、首肩のコリや腰の痛みなどは全てアライメントの崩れが
原因だと言っても言い過ぎではない程、アライメントは重要です。

リハ職はよく”アライメント”という言葉を使います。なんかカッコイイんで。
ビジネスシーンでも使われる言葉みたいですね。
辞書的な意味は、「整列」「一列に並べる」「調整」といった意味があるようです。
医療場面では、「身体の位置関係が正しい位置に配置されていること」 という意味で使います。


つまり、アライメントの崩れというのは、
骨や関節の位置関係が正しい位置からズレている状態ということです。
アライメントの崩れというのは、皆様が思っている以上に身体に負担を与える状態です。
ひざ関節のアライメントが崩れることで、
骨はもちろん関節軟骨や靭帯、半月板に大きな負荷がかかります。
結果、骨の変形・軟骨の摩耗・靭帯の損傷などが起きてしまい痛みにつながるのです。

下の図を見てください。
どちらの積み木の方が安定感があると感じますか?
アライメントが崩れた足は右側のように不安定な状態と言えます。


姿勢(アライメント)の崩れはなぜ起こるのか?

では、なぜアライメントの崩れが起きるのでしょうか?
アライメントの崩れが起きる原因についてお伝えします。

❶筋力低下(特に大腿四頭筋)
大腿四頭筋とは太ももの全面を覆っている大きな筋肉です。
”四頭筋”の名の通り、4つの筋肉の総称です。
(大腿直筋、内側広筋、中間広筋、外側広筋)
英名で”Quadriceps femoris”なので、
医療職やスポーツ関係の人は”Quad(クアド)”と言います。

覚えておくと役に立つかもしれません。
脚の4本ある杖(よく四点杖と言われるアレ)のことをQ-caneといいますが、
Quad-caneでQ-caneと呼んでいる訳ですね。

クアドは股関節とひざ関節にまたがって走行している筋肉ですので、
この筋が筋力低下することで、骨盤と大腿骨と脛骨の位置関係がズレやすくなります。


❷体重の増加や加重バランスの崩れ
ひざ関節の役割は体重の支持や衝撃の吸収だとお伝えしました。
つまり、体重が重い程ひざ関節には大きな負担がかかることになります。
静止して立っている状態では、ひざにかかる重さは体重と同じくらいで済みますが、
歩行時には体重の2〜3倍、階段昇降時には体重の6〜7倍の重さがかかります。
体重が1kg増えるだけで大きな負担がかかることになります。

また、歩き方のクセや動作のクセで片側のひざにだけ多くの負担がかかる場合もあり、
そうなると片側のひざだけ変形が進み、左右のバランスが崩れることで、
余計にアライメントが崩れる…という悪循環に陥る可能性があります。

臨床にいるとよく遭遇するのですが、だいたいのひざが痛い方は
片側だけ痛みが出ている場合が多いです。
そして、痛みがある側への加重(体重をかけること)を避けるので、
痛みのない側のひざに負担がかかって
痛くなかった側のひざにも痛みが出始める…という方が非常に多いです。


❸隣接関節の影響
隣接関節とは文字通り、「お隣の関節」のことです。
ある特定の関節の前後や上下に位置し、
機能的にも構造的にも関係の深い関節のことを指します。
ひざ関節を中心に考えると、
隣接関節に当たるのは「足関節(足首)」や「股関節(股)」となります。

人体の動きは関節ごとに起きているのではなく、
多くの関節が連動して複雑な動きを可能にしています。
それを運動連鎖(キネティックチェーン)と言います。
そのため、ある関節の動きや障害が隣接関節に影響を及ぼします。

「ひざが痛いのに、その原因は股関節の変形や痛みがあってそれをかばうような歩き方をしていたから」 といったことは臨床ではあるあるです。
このような場合は、ひざの治療だけしていても根本原因である股関節の治療をしなければ
いつまで経ってもひざは良くなるどころか悪化していきます。
このように、どこかの関節がうまく動かないことで、
他の関節がそれを代償して動いてしまって
無理をした動きが起きていることは多くあります。

一例として、骨盤は上半身と下半身を連結する重要な部位であり、
骨盤のアライメント異常によって様々な症状が発生する原因となります。


次回予告
いかがでしたか?
ひざ関節の構造や役割、痛みの出る原因について
作業療法士の目線からお伝えしました。

次回は、ひざ痛の対処方法についてお伝えしますのでお楽しみに!
作業療法士Kでしたー!それではまた次回お会いしましょう〜!
ウキウキ♪リハビリテーション!

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